国内初・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)犬から人へ感染

Pocket

 

以前の記事(猫からうつる?・SFTS(重症熱性血小板減少症候群)のはなし)で、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症した犬から人に感染が広がる可能性は否定できない、という趣旨のことを書いたのですが、早々に現実化してしまったようです。

 

2017年10月10日に、以下のような発表が徳島県からありました。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に係る注意喚起について(徳島県HP)

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)のイヌからヒトへの感染事例について(徳島県危機管理連絡会議資料)

 

発表によると、2017年6月上旬、40代男性の飼っていた犬が体調を崩し、SFTSを疑って検査をしていたところ、6月中旬に飼い主の男性も体調を崩し、犬も人もSFTSと診断されたとのこと。幸い犬も人も現在は回復しています。

男性はダニに噛まれた形跡はないことから、国立感染症研究所は犬から人へSFTSが感染したと判断しました。

 

ついに、というかやっぱり、というか、前回の猫から人に次いで、犬から人へのSFTSの感染も確認されてしまいました。犬から人への感染の報告は国内初です。そして今回のケースで気になったのは、男性は犬に噛まれていないということです。

 

SFTSを発症した猫から感染して亡くなった50代の女性の例では、女性は猫に噛まれていたので、感染するのも無理はないと感じたのですが、今回男性は犬には噛まれておらず、看病中に手をなめられたなどの接触があった程度とのこと。

 

日常的なお世話でも感染は成立してしまう可能性が今回のことで示唆されました。

 

ただ、前出の女性は死亡していますが、今回の男性は回復しています。なめられるだけなら軽症で済むのか?それとも今回の男性は比較的若かったから重症化しなかったのか?(SFTSは50代以降で重症化します)気になるところです。

 

誤解のないように言うと、単にダニがついただけの犬になめられても感染はしません。あくまでSFTSを発症して、体調不良に陥った状態の犬だけが人にうつすリスクがあります。

 

SFTSに感染した犬はほとんどの場合症状が出ない不顕性感染となると言われています。過去の報告と合わせると、日本では犬2例、猫1例の発症例がありますが、犬の抗体保有率が0~15%という調査結果と合わせても、発症までいたるのはごく一部のまれなケースなんだと思います。

 

というわけで、実際にSFTSを発症した犬猫を見る機会はめったにないとは思いますが、犬や猫が、ダニに噛まれてから体調を崩した場合は、念のためSFTSの可能性も考えて対応する必要があると思います。

 

特に流行地でこのような体調不良が起きた場合、ペットの分泌物(血液、唾液、尿、便)には直接触らないようにして、すぐに動物病院に相談することをおすすめします。その際必ず、ダニに噛まれたということを担当医に知らせてください。

 

SFTSと確定するには外部の機関による特殊な検査が必要ですが、動物病院の血液検査でも、血小板を測ることでSFTSの可能性があるか否か、くらいはあたりをつけることができます。

 

余談ですが、獣医師の間では、実際にこのような動物が運び込まれてきたときどうするのか、という話題が出ています。まだマニュアルもないので、ペットも治療しつつ、スタッフも感染させないような対応を個々の病院で考えなければならないのです。

 

東日本だからまだ大丈夫、なんてのんびりしてたら、今度は東日本で発症、というニュースが飛び込んできそうなので、まじめに対策を考えなければなと思っているところです(どうか現実化しませんように。。。)

 

SFTSについてくわしく知りたい方はこちらもお読み下さい

猫からうつる?・SFTS(重症熱性血小板減少症候群)のはなし

 

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です