ペットの最期を考える 「病院で死ぬということ」を読んで
何十年かぶりに、「病院で死ぬということ」を読みました。
初めて読んだのは高校生の頃。ものすごい衝撃を受けました。
その頃は今よりももっと「死」がタブー視されていて、ガンの告知なんてもってのほか、という時代でした。
そんな時代に「死」と真正面に向かい合う医師と、現実を否定し、怒り、嘆きながらも最終的には「死」を受け入れ、穏やかに最期を迎える患者さんの姿が描かれていました。
死ぬことはとにかく悲しく暗く悲惨で、目を背けたいものというイメージだった私は、この本に書かれていたあたたかなゴールのような最期は想像もしたことがありませんでした。
病院のシステム上で機械的に看取られるのではなく、自らの最期を自らで決める、「尊厳死」というものがあることも、この本で知りました。
あれから時が過ぎ、私も動物病院という場で、たくさんのいのちの最期を見ました。いろんな最期の形がありました。あれでよかったのだろうか、と自問自答することも少なくありません。
どうやって治すかということにかけての獣医学の進歩は目を見張るものがあります。その一方で、看取り方についてはまだまだ何も変わっていないという忸怩たる思いがあります。
マザーテレサではないけれど、最期の迎え方は本当に大事だと思っています。亡くなる子にとっても、残された人にとっても。そのためになにが必要なのか。どんなことができるのか。考えなければいけないなと改めて思ったのでした。